Vol.11 週1回のインスリン製剤が使用しやすくなりました
さて、今回のお話は2025年1月に発売された週1回インスリン製剤についてです。週1回基礎インスリン製剤(アウィクリ 注:一般名インスリンイゴデグ)と言います。インスリンには基礎インスリンと追加インスリンがありますが、これまで基礎インスリンは、1日1回打つ必要がありました。今回、ゆっくりと作用するインスリンが出来たことで、1週間に1回投与すれば良い、画期的なインスリンが登場しました。

(novo nordiskホームページより引用)
新薬は、発売されてから1年間は14日間の処方制限があるので、2週間に1回の来院が必要となりますが、2025年12月で、この制限がなくなり、処方しやすくなりました。
インスリンというと、どうでしょうか? 出来る限りやりたくない治療だと思います。心理的に負担感が多いイメージがあると思います。糖尿病は膵臓のインスリンの働きが悪くなる病態なので、血糖が悪い状態が続くと、膵臓からインスリンが出なくなっていきます。昔は、薬のみでは血糖値が保てなくなった状態、膵臓が枯れてしまった後に、最後の手段としてインスリンを使用するような位置づけでした。現在は、空腹時血糖が上昇し、インスリン基礎分泌が不足してきた場合は、糖尿病の内服薬を継続しながら、基礎インスリンを早めに補充することで、空腹時血糖が改善し、インスリン分泌を改善させることが可能です。このような場合は積極的に基礎インスリンを導入することが勧められています(BOT療法:Basal Supported Oral Therapy)。週1回製剤が出たことで、忙しい方でも、以前よりも積極的に治療に結びつけられるようになると思われます。
また、ご高齢の方にも、注射回数を減らし、精神的・身体的負担を減らすことが出来ますし、毎日注射がどうしても難しい方、ご本人が注射を打てず、ご家族が投与されている場合など、より負担感が少なくインスリン注射をすることが出来るようになりました。
しかしながら、血糖の変動が激しい方や、低血糖が頻回に起きる方、注射の単位数が少ない方、頻繁に注射の単位数を変更する必要がある方など、向いていない方もいらっしゃいます。外来で、適応がある方にはご案内したいと思っています。また、気になる方がいらっしゃいましたら、お申し付けください。
今年も、糖尿病などについて、有益な発信をして参りたいと思います。よろしくお願いします。
