内科医師:糖尿病・内分泌専門医 関戸 恵子
みなさんは、自分の身長や体重を把握していますか?BMI (Body Mass Index )はボディマス指数と呼ばれ、体重(kg)を身長(m)の二乗で割ることで算出出来ます。肥満度を表す体格指数です。子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。健康を維持するためには日頃からBMIを把握することが重要です。
日本肥満学会では、BMIが22を適正体重(標準体重)とし、統計的に最も病気になりにくい体重とされています。25以上を肥満、18.5未満を低体重と分類しています。2型糖尿病の原因の一つとしては肥満が挙げられますが、血糖値をよくするためには適切な体重管理が重要となります。しかしながら、忙しい日常の中、減量にまで繋げていくのは非常に難しい側面もあると思います。脂肪1kgあたり7200 kcalの消費が必要ですので、1ヶ月で体脂肪1 kg減量するためには1日あたりエネルギーバランスで240 kcal程、消費が必要となります。
現在、糖尿病の薬物療法には、様々な薬が存在しますが、減量にお役立て出来る薬剤の1つとして、GIP/GLP-1受容体作動薬があります。血糖改善効果(膵臓に対してインスリン分泌を促進させるほかに、血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑制する作用など)に加えて、摂食抑制作用、摂取した食べ物の胃からの排泄を遅延させて、食欲を低下させることで減量作用があります。
内服薬1剤、注射薬は6種類あります。飲み薬は起床時、注射薬は毎日投与する必要がある製剤、週1回投与する製剤があります。
糖尿病の方だけではなく、肥満症の方にも2024年2月にGIP/GLP-1受容体作動薬が発売開始となりましした。現在一部のクリニックなどにおいて、GIP/GLP-1受容体作動薬を、適応外使用である美容・痩身・ダイエット等を目的として自由診療での処方を宣伝する医療広告が散見され、供給を上回る受容増加の影響で限定出荷が生じていることが非常に問題となった背景もあり、肥満症に対しては使用可能な施設が限られていますが、引き続き当院では糖尿病の方に対して処方可能ですので、糖尿病があり、減量が必要な方はいつでもご相談ください。
今回は、糖尿病、肥満症の薬剤のお話をしましたが、病気に対しての考え方は様々です。今後とも、その方の病状、考え方、薬価など総合的な面を考慮して、お一人お一人に寄り添った治療が出来るように精進していきたいと思っています。よろしくお願い致します。