第6回公開研修会を終えて

竹重病院 回復期リハビリテーション病棟
理学療法士 石丸 修

 令和元年11月9日(土)に当院研修棟ラベンダーホール2階にて、公開研修会が開催されました。今回は「生活期の課題を医療につなげる~手足のつっぱり(痙縮)について~」というテーマで、北信地区のケアマネジャー、理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員を中心に、当院スタッフ、さらに当事者(当院退院された患者さま3名)を加えて48名の方に参加していただきました。

 第1部では、「痙縮とは?その治療法とリハビリテーション」という内容で、当院浅野医師より講義がありました。脳卒中後遺症である手足のつっぱりの生理学的機序やその治療法(ボツリヌス治療)、その後のリハビリテーションの重要性を、当院の取り組みを交えての内容でした。また、北信地区の病院の痙縮治療の取り組みについても、参加者されていたセラピストから話をいただきました。生活期の課題は「痙縮」のみではなく多岐にわたり、装具・嚥下栄養障害・筋力低下などの生活不活発病・高次脳機能障害など、低下していく機能をどのようにフォローしていくかが重要であると思われます。「それを見出すのは誰か」、「どのようにつなげていくか」、「どのような窓口が必要なのか」が、生活期の課題を医療につなげるためには重要ポイントであるという内容でした。

 第2部では、実際に痙縮治療を行った事例を3例ご紹介させて頂きました。当院入院中に痙縮治療を行った方、退院後に行った方、脳卒中発症後14年経過して治療を行った方の事例報告を、動画を交えて、報告させて頂きました。それぞれ治療時期は異なりますが、生活目標を達成するために、何が課題で、それに対してどのような方法があるか、治療の結果はどうであったか、さらに続けるか…などを本人・ご家族を含めたチームで吟味して、情報共有していくことが重要であると思いました。今回取り上げている痙縮治療は、その生活目標を達成するための手段のひとつで、今後いろいろな方策が提供できればと感じました。

 第3部では、「生活期の課題を医療につなげる」というテーマを、以下の視点からディスカッションしていただきました。

①生活期から医療につなげた例はあったか?

②もしあればどのような例があったか?

③どのような職種が関わったか?

④当事者は誰に最初に相談するのか?

⑤どのような窓口が必要と思われるか?

⑥誰がどのようにつなげるか?対象者を見出すのは誰か?

 多職種によるさまざまな意見交換が行われ、医療機関へ希望する取り組みとしては、「解りやすい窓口の設置(〇〇外来など)」、「積極的な情報発信」などがありました。患者・利用者様のために、立場の違いを超えて意見交換ができることが重要で、訪問リハビリスタッフの積極的な利用により、対象者を見出すことが可能となるのでないかという意見もいただきました。また、かかりつけ医との連携にも課題があるとの意見もいただきました。

 今回の研修会で、生活期の課題を生活目標まで掘り下げて支援するために、在宅支援スタッフは対象者を見出すための知識や方法を得ること、医療機関は受け皿としてその窓口を用意することなど、医療介護双方の課題の一部を確認することが出来たと思います。今回皆様から頂いた貴重な意見を、次回の研修会につなげていき、さらに「生活期の課題を医療につなげる」というテーマを掘り下げていきたいと思います。ご参加していただいた皆様、ありがとうございました。